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第8章 深く深く入りたい

幸子の運転でオープンしたばかりの隣町の大型スーパーに来ていた

「いつか来たいと思ってたんですよ。」

関本と食材を買う

わざわざ隣町まで来たのは
知り合いに会わないためだった

関本に周りを気にするかどうか面と向かって確認したことはない
しかし自分は独りでも向こうは既婚なのだ
プライベートで二人で行動するのはまずい

スーパーはさすがに人が多かった
向こうから押し寄せてくる人の群れに飲まれそうになる
しかし気軽に関本と手を繋ぐわけにもいかない

さりげなくくっついて歩くのも限度があった

あっ、

人をよけてるうちにはぐれてしまった

どうしよっ
携帯、、

しまった車に置いてきた

急に慣れない場所に１人取り残されて不安になる

案内所を探そうと歩きだした瞬間だった


「さちこ！」

いつもの嗄れ声だった

振り向くと彼が居た
ポケットに手を入れてこちらを見ている
あたしのこと、探してくれたんだ
嬉しい
そしていきなり名前で呼ばれてびっくりした

「ごめんなさい、あたし見失っちゃって。」

「行こうか？」

手を差し出してくる
繋ごうというのだろうか

「え、でも、、、。」

「嫌？」

「嫌じゃないけど、、。人の目が気になって。」

関本が黙って幸子の手を自分のジャンパーのポケットに入れて歩きだす

安心感に包まれて
もう昼間の
慎吾と今後どうこうゆう話なんて忘れてしまう

あたしは今が幸せだった