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第1章 お見合い相手

「ああ、大丈夫よ。もう帰ったら？」

「分かりました。お疲れ様です。」

部下の一人は、頭を下げながら、オフィスを出て行った。

でも、何か引っかかって、私は立ち上がった。

やっぱり、少しは手伝って貰った方が、早く帰れるかな。

廊下に出ると、さっきの部下の一人が煙草を吸っている。

「ごめん、徳山君……」

「岸谷部長ですか？まだ仕事してますよ。」

誰かと話している声が聞こえた。

「凄いね。流石は早く昇進した若き女性部長だけある。」

「そう言えば聞こえもいいけれど、まだ独身でしょ？仕事一筋って感じで、俺は嫌だな。」

胸がズキッとした。

「そこそこ年収あって、家庭があって。その方が俺は幸福度高い気がする。」