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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第60章 祈り2(アズート)
「祈りなさい・・・」
込み上がる欲望を押えながら微かな笑みを王妃に投げると、司教は隣りの王の頭に聖水を掛けていく。

マチルダは再び瞳を長い睫毛で覆うと、一心に祈るのだった。
とてつもない運命が待ちうけているともしらずに。

(司教様・・・・)
マチルダはアズートの前にひざまずき、尚も強く念じ祈るのであった。

(司教様はあの方の再来・・・。この国を救ってくださった。そして、あの時の私も)
マチルダの胸に、幼い頃の僧侶の思い出が蘇ってくる。

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