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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第91章 蘇る悪夢(アズート)
あの時。
この五年間、ルナの心に何度も問われ続けていた思いが、わき上がるのだった。
(どうして・・・・?)
そう、どうして。
今、水晶を通して蘇る母と自身の忌まわしい体験がルナに切なく問いかけるのだ。
『お許し下さい、ルナ様・・・』
見え透いたアズートの命乞いに、ためらってしまった自分が悔しかった。
(だめ、だめ・・・・)
夢の中で懸命に声を出すのだが無駄であった。
残酷な物語は過去の事実をなぞっていく。