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ベターハーフは何処にいる
第11章 旅立ち
「本当に申し訳なかったと思うんだったら、
今度は私の為に動いて貰えませんか?」

「えっ?」

益々、樹さんは混乱した顔をする。


「これから豪ちゃんは、
どんどん忙しくなるの。
だから、スタッフとしてサポートしてくれません?
あ。
勿論、タダ働きじゃなくて、
雇用契約しますよ?
会計士の資格あるなら、
その業務もして貰って、
対価をお支払いします」


「ちょ…愛ちゃん?」


「同級生だったんでしょ?
部活も一緒の。
だったら気心も知れてるし」


「でも、愛ちゃん?」

「樹さんが嫌なら、
断ってくれても良いですよ。
即答しなくても…」


「愛美さん。
本当に?」

「ええ。
でもね。
今度、私の期待を裏切るようなことをしたら、
グーでぶん殴りますよ?」と言うと、
樹さんは泣いてしまっていた。


「それとね。
これは、見当違いかもしれないけど。
翔子さんも、元々は悪いヒトじゃないハズなの。
なんて言うか…。
ヤキモチとか、上昇志向とか、
ぐちゃぐちゃになってただけじゃないかしら?」

「えっ?」


「だって、昔、バーで会った時も、
その後、銀座のクラブで会った時も、
私に掛けたのは水だったのよ?
悪意があったら、
グラスごと、顔に投げ付けることだって出来たのに…」


私はクスクス笑った。


「樹さんも、これからサポートが必要になるかもしれないし、
翔子さんもサポート、必要かもしれない。
ひょっとしたら、2人、
また寄り添いあえるかもって思ったの」


「いや。
それはない。
裁判の時のこと、
愛美さん、覚えてるでしょ?
お互いに罪をなすりつけあって、
本当に最悪だったよ」

「だって、そうでもしないと、
罪を減ずることも出来ないって、
弁護士さんとかに言われてたんじゃない?」


そう言うと、樹さんは下を向いてしまう。


「とにかく、前だけを向いていきましょ?
豪ちゃんも良いでしょ?」


「んー」

「豪ちゃん?
豪ちゃんのボスは私よ?」と笑うと、
豪ちゃんは顎を掻いて笑った。
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