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ベターハーフは何処にいる
第2章 初めての片想い
一瞬、森田くんの顔が強張ったような気がした。

でも、そんなことより、
キスしたくて、
私は森田くんの首に手を回して、
ゆっくり瞳を閉じながら唇を重ねてみた。


軽く、チュッとして、
両頬にもキスをする。

そして、もう一度唇にキスをすると、
森田くんは軽く私を押し退けるようにした。


私は恥ずかしさで身体がカッと紅くなってしまう。


…そんなに嫌いなの?

好きなヒトとキスしたくて、
これ、ファーストキスだったのに。


あまりのことに涙が止まらない。


そしたら、森田くんはそっと指先で涙を拭って、
止まらない涙を唇で受け止めてくれると、
そのまま頬を包むようにしてからゆっくり唇を合わせてくれた。


最初はそっと唇を重ねていただけだったけど、
息が苦しくなってしまって、少し唇を開くと、
そっと舌で唇を舐めてから私の舌を探るようにしてくれる。

私は森田くんの首に腕を絡み付けるようにして、
夢中でキスを返していた。

森田くんも私の背中を撫でながらキスをする。


物凄く優しいのに情熱的なキスで、
クラクラしてしまう。


そっと唇を離しながら目を開けると、
2人の間にツーっと銀色の橋が架かっていた。

トロンと溶けたような顔をしていたような気がして、
恥ずかしくなってしまう。

森田くんは、真剣な顔で私を見て、
「ごめん」と言った。


「えっ?
どうして?」


「付き合ってる訳でもないのに、
キスするとか、ないよね?」

「お誕生日プレゼントのキスでしょ?
それとも、付き合ってくれるの?」


「ごめん。
やっぱり無理。
友情の方が大事だから。
今日は、誕生日プレゼント。
それと、酔っ払ってたってことで。
帰るよ。
小松さん、おやすみ」と言って、急に立ち上がると、
スタスタと部屋から出て行ってしまった。



「えっ?
なに、それ?」

私は茫然としてしまった後、
そのままソファで泣きながら寝た。


森田くんは最後まで、
名前では呼んでくれなくて、
私は森田くんにとって「小松さん」でしかないことを思い知った最悪の誕生日だった。
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