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ベターハーフは何処にいる
第2章 初めての片想い
クリスマス前に、
「ダブルデートしない?」と豪ちゃんに言って、
森田くんを誘って貰うようセッティングした。


それで、高校時代の後輩で、
一番あざと可愛い女子を誘って、
恵比寿で夜景を楽しみながら食事をした。


「こちらは高校時代のテニス部の後輩の原田翔子さん。
同じ大学の文学部1年よ。
翔子さん、こちらは、私の幼馴染で私と同じ法学部の田中豪さんと、
その友達の森田葉さん。
森田くんは東大。」と紹介する。


さあ、そのまま、翔子さんは豪ちゃんと…。
そう思ってたのに、
豪ちゃんは私にばっかり、話掛けてくる。

そして、翔子さんは森田くんばかりに甘ったるい声で話し掛けては、
ボディタッチをする。


えっ?
なに、これ?


途中でお手洗いに行って、
翔子さんに訊いてみた。

「どっちがタイプなの?」

「えー?
まな先輩は、どうなんです?」と目をキラリとさせて訊き返されてしまった。


「えっ?
私は…森田くんかな?
豪ちゃんは、生まれた時から知ってて、
兄妹みたいで、無理」


「代議士の1人息子か。
優良物件ですね。
背も高くてイケメンで…」と言う。


「判りました」とニッコリ笑うから、
それ以上は何も言えなくて、
そのまま席に戻った。


その後は、
翔子さんは豪ちゃんにも甘ったるい声で話し掛けるようになって、
ホッとしてしまった。


お店を出て、
大きなクリスマスツリーを観に行くことになったら、
ビックリするくらいの混み具合で、
豪ちゃんと翔子さんがあっという間に人混みに呑まれてしまった。


「えっ?」とビックリしてると、
そっと手を繋がれた。

森田くんだった。


「小松さん、小さいから。
はぐれないように手を繋がせて?」と言われて、
心臓がバクバクしてしまった。

私は指を絡めるように繋ぎ直して、
ぎこちない笑顔を向けてみると、
森田くんは優しく微笑んでくれた。


そして、人混みに押されながら少しずつ前へと進んだ。


クリスマスツリーが見えてきたけど、
私の心臓は限界で、
しかも人酔いしてしまっていた。


「森田くん…ごめんなさい。
私、人酔いしちゃったみたい。
気持ち悪い…」と涙目で言うと、

「えっ?
じゃあ、ちょっと離れようか?」と言って、
少し慌てるように私を庇いながら、
ヒトの流れに乗りつつ外側へと移動してくれた。

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