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ベターハーフは何処にいる
第2章 初めての片想い
どうやって移動したのか覚えてないほど、
具合が悪くなってしまって、
多分、森田くんに抱えられてタクシーに乗って、
気づいたら知らない部屋のベッドに寝かされていた。


横を見ると机に向かっている森田くんの背中が見えて、
その横に狭い部屋には少し不釣り合いな観葉植物があった。


「ベンジャミン…?」と呟くと、
ゆっくり森田くんが私の方を振り返った。


「ああ。
良かった。
小松さん、大丈夫?」と、
落ち着いた低い声でゆっくり訊いてくれる。


この声がとても好き。
そう思いながら頷いた。


「マンションの場所は、豪と同じだから判るけど、
部屋の番号判らないし、
豪は携帯に出ないから、
僕の部屋に連れて来ちゃったよ」と説明してくれる。


私はお礼を言いながら起きあがろうとして、
また、ふらついてしまって、
少し慌てて森田くんが立ち上がって私を支えてくれる。


森田くんの手が熱く感じて、
心臓が高鳴ってしまいそうになる。


「もう少し、休んでから帰る?
なんか、飲む?
インスタントコーヒーか水しかないけど」と笑う。

笑うと端正な顔が少しだけ可愛くなる。


「倒れる前に言わないと。
我慢しちゃダメだよ?
オトコの部屋に連れ込まれて、
酷いことされたら危ないでしょ?」と少し怒った顔をする。


「酷いこと?」


「無理矢理、襲われたりとか」


「森田くん、そんなこと、しないでしょ?
私のことなんて、何にも思ってないんだから…」

そう言いながら、泣きそうになる。


森田くんは、
「そんなこと、ないよ?」と言って、
突然私を抱き締めて、
そっと唇にキスをした。

触れるだけのキスかと思ったら、
そっと舌で唇を舐めてからユルユルと口の中に舌を潜り込ませる。

私は驚いてしまって、
目を閉じることすら忘れてしまっていて、
綺麗な顔立ちの森田くんが瞳を閉じて私にキスをするのをスローモーションみたいに感じながら観ていた。

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