この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ベターハーフは何処にいる
第3章 いきなりの失恋と喪失
いつものバーで、カウンターにテキーラのショットグラスを並べる。
そして、1人ずつ、
一言ずつ言っては乾杯して同時に呑み干していく。
一番最初に降参するのは、
いつものように豪ちゃんで、
「もう、無理。
ごめん!」と言って、お化粧室に行ってしまう。
残った森田くんと私は、
「じゃあ、豪ちゃんの撃沈に!」と言って、
乾杯して一気に呑み干して笑うと、
一番会いたくない翔子さんがお店に入ってきた。
「酷い!
妊娠してて私、飲めないのに、
まな先輩と2人で飲んでるの?」と言うと、
翔子さんはチェイサーの水を私に掛ける。
私は妊娠という単語に驚いて、
ショットグラスを落としてしまって、
慌ててそれを拾おうとして手を切ってしまった。
森田くんも慌てて、ハンカチを出すと、
濡れた私の顔の辺りと、
血が滲んだ指先をハンカチでそっと押さえてくれる。
「まな先輩?
私達、婚約したから、
もう、葉さんと会わないでくださいね?
さあ、帰りましょう?」と、
森田くんの手を引っ張って出て行ってしまった。
バーテンダーさんが目で合図をして、
ホールの方が割れたグラスやテーブルの水を片付けてくれて、
バーテンダーさんは救急箱を出して私の指先を消毒してから大きめの絆創膏を貼ってくれた。
私はカードを出してお会計して貰うと、
豪ちゃんのことをすっかり忘れたまま、
フラフラと外に出た。
恵比寿ということもあって、
なんだかカップルだらけだった。
駅はヒトが多くて近寄りたくなくて、
反対の方に向かって歩いた。
妊娠?
婚約?
じゃあ、本当にもう、
森田くんと一緒に歩めることはないのね。
そう思うと、
涙が止まらなかった。
涙で目が滲んでいたからか、
前から来た背の高い男性をやり過ごしたつもりが、
肩にぶつかってしまって、
よろめいて転びそうになる。
「大丈夫?」と言う声が、
森田くんの声に聴こえた。
幻聴?
思わず見上げて見ると、
髪型も髪色も違うけど、
少し顔立ちが、森田くんに似てる気がする。
幻聴だけでなくて、
幻覚か。
私、どうかしてる。
そう思いながら、
「申し訳ありませんでした」と頭を下げて、
歩き始めようとすると、
まだ、腕を掴まれていた。
そして、1人ずつ、
一言ずつ言っては乾杯して同時に呑み干していく。
一番最初に降参するのは、
いつものように豪ちゃんで、
「もう、無理。
ごめん!」と言って、お化粧室に行ってしまう。
残った森田くんと私は、
「じゃあ、豪ちゃんの撃沈に!」と言って、
乾杯して一気に呑み干して笑うと、
一番会いたくない翔子さんがお店に入ってきた。
「酷い!
妊娠してて私、飲めないのに、
まな先輩と2人で飲んでるの?」と言うと、
翔子さんはチェイサーの水を私に掛ける。
私は妊娠という単語に驚いて、
ショットグラスを落としてしまって、
慌ててそれを拾おうとして手を切ってしまった。
森田くんも慌てて、ハンカチを出すと、
濡れた私の顔の辺りと、
血が滲んだ指先をハンカチでそっと押さえてくれる。
「まな先輩?
私達、婚約したから、
もう、葉さんと会わないでくださいね?
さあ、帰りましょう?」と、
森田くんの手を引っ張って出て行ってしまった。
バーテンダーさんが目で合図をして、
ホールの方が割れたグラスやテーブルの水を片付けてくれて、
バーテンダーさんは救急箱を出して私の指先を消毒してから大きめの絆創膏を貼ってくれた。
私はカードを出してお会計して貰うと、
豪ちゃんのことをすっかり忘れたまま、
フラフラと外に出た。
恵比寿ということもあって、
なんだかカップルだらけだった。
駅はヒトが多くて近寄りたくなくて、
反対の方に向かって歩いた。
妊娠?
婚約?
じゃあ、本当にもう、
森田くんと一緒に歩めることはないのね。
そう思うと、
涙が止まらなかった。
涙で目が滲んでいたからか、
前から来た背の高い男性をやり過ごしたつもりが、
肩にぶつかってしまって、
よろめいて転びそうになる。
「大丈夫?」と言う声が、
森田くんの声に聴こえた。
幻聴?
思わず見上げて見ると、
髪型も髪色も違うけど、
少し顔立ちが、森田くんに似てる気がする。
幻聴だけでなくて、
幻覚か。
私、どうかしてる。
そう思いながら、
「申し訳ありませんでした」と頭を下げて、
歩き始めようとすると、
まだ、腕を掴まれていた。