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ベターハーフは何処にいる
第6章 会いたい
「豪くん、ちょっと良いかな?」と言って、
初詣にすぐに出掛けるつもりでいた豪ちゃんをパパが引き留める。


「車だから、呑めないですよ?
それに、弱いし」と言う豪ちゃんに、
私はそっと桜茶を出した。


「お節も少し、如何?
今年はほとんど、愛美ちゃんが作ったのよ?」とママがニッコリ笑って取り皿とお箸を豪ちゃんの前に置いた。


「愛ちゃん、料理、上手いから」と言いながら、
嬉しそうに食べ始める豪ちゃんに、
パパが話を切り出した。


「愛美がね。
アメリカに行きたいって言うんだけど、
豪くん、その…相手のことは?」


「ああ。
森田のことですか?
良い奴ですよ。
幼稚舎から高校まで同級生でしたよ。
無口だけど、実直で、
山岳部だったし、
なんていうか、質実剛健みたいな奴で。
東大出て、
愛ちゃんと同じタイミングで早々に司法試験受かった後、
弁護士事務所に入ってすぐにロースクールに行って、
この前、受かったからって一度帰国して…」


「事務所はどちらかな?」


「さあ…?
家に戻れば名刺があるかも」


「愛美もよく知らないって言うんだよ」


「あの…ご兄弟とかはいらっしゃるの?」


私の顔を見てから、
「双子の弟が居て、
確かメガバンクに勤めているって…」と言った。


「私は…豪くんなら良いと思っていたんだがな?」


「えっ?
パパ、何言ってるの?」


「そうね。
産まれた時から家族ぐるみでお付き合いしてるし、
優しいし、
ご近所だし、
安心なんだけど」と、ママまで言う。


「豪くんは跡継ぎだろう?
別に愛美は一人っ子だけど、
嫁に出しても良いと思ってるんだよ。
子供が2人産まれたら、
1人だけ、養子にして貰えたら嬉しいけどな」と、
パパが言うから、
豪ちゃんは困った顔で顎髭を掻いた。


「取り敢えず、森田は本当に良い奴だから、
今度、会ってやって欲しいけど…。
日本に戻らないって言ってたからな」


「まあ!
そうなの?
それなら、余計に淋しいわ?」


「もう!
2人とも、私の気持ちは?」と言うと、

「だって勤務先も知らないっていうし、
パパはきちんとジャッジ出来ないよ?」と言うから、

「だから…。
お願いだから、会いに行かせて?
私、後悔したくないの」と言うと、
パパもママも本当にがっかりした顔をしてしまった。
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