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ベターハーフは何処にいる
第7章 スキャンダル
謹慎というわけではないけど、
マスコミが纏わりついてきて仕事にならないからと言って、
豪ちゃんはマンションから出ないようにしていた。

同じマンションなのに、私もなかなか会う時間が作れなくて、
久々に入った豪ちゃんの部屋の中は少し荒れていて、
カップラーメンのゴミや、ビールの空き缶が散らかっていた。


「もう!
豪ちゃん、ゴミはちゃんと捨てて?
こんなの食べてたら病気になるよ?」と言いながら、
ゴミを纏めて片付け始めると、

「愛ちゃん、ちょこまか動いてて、
小動物みたいだな」と笑う豪ちゃんは、
少しやつれているようだった。


すっかりゴミを纏めて、
ちょっと寒いけど窓を開けて空気を入れ替えてから掃除機を掛けると、
さっぱりした気持ちになって、
改めて豪ちゃんの顔を見てから、
ソファに2人で座って、
豪ちゃんの手を握って言った。


「ねえ。
暴行事件のこと、話して?
豪ちゃん、樹ってヒトのことを殴ったの?
それ、私の為でしょ?
恋愛関係のもつれって言われてるけど、
私が強姦されたこと、言わないようにして、
殴ってくれたんでしょ?」


豪ちゃんは、私を抱き締めて、

「もう済んだことだから。
そのうち、こういうのも終わるよ」と言って、
髪を撫でてくれる。


「やだ。
これじゃあ、豪ちゃんが悪者じゃない?
それに、なんで今頃?」

「判んないよ。
誰かがリークしたのかな?
オヤジの選挙、あるしさ。
そっちに影響出ないように、
大人しくしてれば」

「そんなの、絶対やだ。
私、強姦されたこと言って、
豪ちゃんが私の為にしてくれたこと、
証明する」

「そんなことしたら、ダメだよ。
愛ちゃんのお父さんとお母さんが、
卒倒しちゃうよ。
おばあちゃまなんて、心臓止まるよ?」と、
戯けて言う豪ちゃんの顔を見て、
私の気持ちは逆に固まった。


いつも私を守ってくれてた豪ちゃんを救う。


それしか考えられなかった。


そして、
「判った。
あのね、私、ちょっとニューヨークに行ってくるから。
すぐ、戻るからね?」と言うと、
豪ちゃんの髭だらけの頬にキスをして、
立ち上がった。
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