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ベターハーフは何処にいる
第8章 リスタート
「3年遅れでやっと愛美ちゃんに追い付いたな?」と言いながら、
豪ちゃんのお父様が豪ちゃんのグラスにビールを注ぐ。


「いやいや、大器晩成。
豪くんは大物の風格がありますよ?」と、
私のパパも豪ちゃんのグラスにビールを注ぐ。


その度に呑み干している豪ちゃんを見て、

「おじさまもパパも、
あんまりお酒、勧めないで?
豪ちゃん、強くないんだから!」と言って、
ビール瓶を取り上げて私が2人の父親にビールを注ぐと、

「結構、修習中、
地方で呑まされて強くなったよ?」と豪ちゃんが笑った。


「そうだろう?
私の頃も、
こっちに来いと言っては、
飲みに連れ歩かれたぞ?」とパパが笑う。


「お前、この後、どうするんだ?」とお父様に言われて、
豪ちゃんは姿勢を正して、

「出来たら愛ちゃんのお父さんの事務所に入りたいです。
俺、政治家、向いてないし」と言った。


「そんなことはないと思うけど…。
豪くんなら大歓迎だよ?」とパパは笑う。


「政治家に向くかどうかは本人の考えだけど、
若いうちはあれこれ、経験するのも大事だから、
ここはひとつ、小松さんの処に預かって頂けますかな?」と豪ちゃんのお父様が言って、
また、3人でビールを注ぎあって乾杯を始めるのを、
私は肩をすくめて見ていた。


「それで、結婚とかは、どうなんだ?」と豪ちゃんのお父様が言うので、
豪ちゃんはビールが気管に入ったように咳き込んでしまって、
私は慌てて背中を叩く羽目になった。

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