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瞼を閉じて想うひと
第1章 ただ、快楽を与えてくれればそれでいい
ほんの数分の静寂のあと、彼を見上げると
視線がぶつかり更にぎゅうっと抱き寄せられる。


落とした視線の先には萎んだ陰茎があり、
それについているゴムの先端には彼の果てたあとが確認できた。


「え?崇さんいついったの?」
そんな素振りは感じ取れなかった。


「結構最初の方にね。今日は何故だか我慢ができなくて。」
私の腰をさすりながらまるで照れ臭さを隠すかのように乳房の上に顔を置かれる。


明るい日差しのなか乱れたシーツが視界に入り現実に引き戻される。


「シャワー借りるね。」
密着していた肌を離し、ベッドから下りようとすると腕を掴まれ制止されてしまう。


「美琴さん帰っちゃうの?今日も泊まっていってよ。」
甘えたような声を出し離した体を再度抱き寄せられてしまう。


「無理言わないで。明日も仕事なの知ってるでしょ。」

背中をぽんと軽く叩き、汗ばんだ体を流すため浴室へと向かった。
彼のこういう甘えたなところは可愛いと思う反面、
それが過ぎるとたまに面倒に感じてしまうこともあるのだ。



私の崇さんに対する想いは
あくまでお互いの性欲を解消するため、
寂しさをほんの少し紛らわすため、
その手段なのだと、
それ以上ではないのだと
そうでなくてはならないのだと
敢えて認識するように、させるように
それ以外の行為は共にはしない。

そこの線引きは曖昧にしてはいけない、
そう思いながらいつも接している。

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