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第20章 ８月１日　ピエロ

ピエロからメッセージが届いた。
『あなたは知っていますか？年間ランキング１位のプレイヤーだけに与えられる、最強の武器を』
もちろん知っていた。僕にはとても手が届かないものだ。
『それを手に入れる方法があります』
こいつ、なに言ってるんだ？
『一度ログアウトして、あるアカウントでログインします。そうすれば、どんなアイテムも、あなたのものです』

まさか…不正アクセス？僕はメッセージを返した。
『それは違反行為じゃないですか』
『違反？たかがゲームですよ？デジタルのデータに過ぎません。誰も損しない。強くなりたいのでしょう？』

僕は迷った。この人の言うことを、きっぱり否定できない。
ピエロは、さらに
『これは戦いです。どんな方法でも、勝った者が正しいのです。わかりますか？チャンスは最大限に利用すべきです。それを逃すのは愚か者です。あなたは勝者ですか？敗者ですか？』
『どうして僕に教えてくれるんですか？』
『あなたを応援したいからです。私は何の代償も求めません。私は、あなたの頑張りに賛同する者です。それだけです。いかがですか？』

僕は誘惑に勝てなかった。
強くなりたい。強くなって、まりちゃんにカッコいいところを見せたい。
『わかりました。そのアカウント教えてください』