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非モテ革命軍
第2章 夜襲部隊
[20XX年7月1日 22時15分 東京都新宿区某所]

激しい音を立てて暴風が吹き荒れ、横殴りの雨が降り続いている。

ときおり、黒い雲に覆われた空を青白い稲光が引き裂き、大地を揺るがすような雷鳴が轟く。

だが、高級ホテルのペントハウスは完全な防音設備が施され、暴風雨の荒れ狂う屋外と隔絶された別世界を作り出していた。

部屋の窓寄りのところに置かれたキングサイズのベッド。

シェードランプのオレンジ色のほの暗い明りが、ベッドの上で絡み合う全裸の男女の影を妖艶に浮かび上がらせていた。

「あーっ!いい……いいっ!あうっ!あん、ああーっ!」

悩ましい女の喘ぎ声が、静まり返った部屋の空気を震わせる。

声の主は、仰向けに寝そべる男の腰の上に馬乗りになり、白くしなやかな肢体をしならせていた。

汗に濡れた黒髪が、動きに合わせて背中や肩に張り付き、時折大きく揺れるたびにランプの光を弾いて艶めく。

女の名は朝比奈佳代。

飛ぶ鳥を落とす勢いの気鋭の恋愛コラムニストだ。

雑誌やウェブメディアで恋愛の機微を鋭く、そして時に残酷なまでに切り取るその筆致は、同世代の女性たちの圧倒的な支持を集め、今や連載を持たない媒体はないと言われるほどである。

しかし、その一方で恋愛弱者男性、いわゆる「非モテ」に対しては容赦がなかった。

連載コラムやテレビの討論番組では、彼らを「自己責任の産物であり、社会のコストを圧迫する存在」と冷徹に断じ、「努力もしないで女性の愛を求める姿は害悪でしかない」と公然と言い放ったこともある。

その歯に衣着せぬ発言は、恋愛とセックスに不自由しない者たちからは正義として持てはやされる一方、追いつめられた者たちの胸中には、消えない黒い怒りの火種を確実に植え付けていった。

だが、当の佳代自身はそんな批判などどこ吹く風だった。

恋愛は勝者のゲームであり、敗者は敗者としての理由がある。

それを言語化するのが自分の仕事だと彼女は本気で信じていた。

彼女の言葉は鋭利な刃だった。

自覚はなかったが、佳代の紡ぐ文章や発言は、すでに人生の崖っぷちに立たされている者たちの、最後の指一本に等しいプライドまでも、無造作にへし折っていたのだ。


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