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自分の為のBL
第5章 降り口は、進行方向左側。

そうか、次の駅で降りるのか…。


自分の降車駅は更にその次だ。
あと数分で、電車は次の駅に着いてしまうだろう。

ということは、この状況もあと少しで終わってしまう。
折角距離が近付いたのに、まだ名前も知らない。
明日の朝にはまた、視界に入るだけの関係に戻ってしまうかもしれないと思うと、焦る気持ちのまま自然と口が動いていた。



「あの、名前教えてくれませんか?それで…実は前々から貴方に興味がありまして、あ、変な意味じゃなくて!魅力的だから純粋に気になるって言うか。だから、嫌じゃなければ今度一緒にご飯でも…あ、あの、よくよく考えれば、俺が不貞行為を働こうとしてたのを体張って止めてくれた訳で、やっぱりあぁ言う事って、しちゃ駄目ですよね。間違いを起こさずに済んだお礼も兼ねてって事で。………どうですか…?」



一気に、思うままに伝えてしまったが、言いたいことは言ったはずだ。
上手く伝わっただろうか。
断られやしないだろうか。
良い返事が返ってくる事を願いながら背後の反応を待つ。

何となく、断られる事は無いような予感はあった。



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