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愛妻を抱かせる
第2章 カミングアウト
私はありったけの心のうちをぶちまけた。

別れるなんてこれっぽっちも考えていなかったが

思わず口をついて出てしまった。

100メートルを全力で走り切ったような鼓動が胸を突いた。

多分超えてはいけない線を私が一人で超えてしまったようだ。

酔いが一気に覚めて頭がクラクラしてきた。

「ちょっとコンビニ行ってくる。」

妻は洗い物を片付けて、家を出て行った。

やってしまった。取り返しのつかないことを言ってしまった。

酔ってやることは絶対上手くいかない。

でも心の底から本心だ。後悔はない。

これで別れたいと言われるなら仕方ない。それしか救いがない。

身勝手な男だ。分かってる。

一生、十字架を背負って生きていく。

性癖とはそれほど人の心を支配するのか。

俺が弱いだけか?

皆、自分の欲求を押し殺して棺桶まで持っていくのか。

自分のやりたいことを実現する事と、

身勝手な願望なので自制しなければならないことの、

境界線がわからなくなってきた。

でも私はその境界線を超えた発言をしてしまった。

妻の気持ちも考えず、身勝手な言葉を投げつけてしまった。

コンビニに行ったまま帰ってこないかもしれない。

最後に目が合った時、悲しい顔をしていた。






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