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第6章 伸樹君の家族

「ったく。孫の顔がみたいなんて。これじゃあ……」

「これじゃあ？」

伸樹君が照れながら答えた。

「俺がプロポーズ急げって、言われてるみたいだな。」


ー　あの子と別れてほしい　－


あの言葉は、聞こえていなかったんだ。

私は内心、ほっとした。

「俺にだって、タイミングがあるのに。」

よかった。伸樹君が、傷つかなくて。

「そうだね。」

私は伸樹君の背中を、ポンと押した。

「待ってるよ。プロポーズ。」

私は伸樹君の顔を覗き込んで、ニコッと笑った。

「反則。」

「何が？」

「キスしたい。」

そう言って伸樹君は、私の唇にキスしてくれた。

唇を放した後、伸樹君は本当に幸せそうで、それだけが救いだった。