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春雷に君
第5章 春雷
「『私、体の相性がよくないとだめなんです。今の彼はもう相性よくてよくて仕方ないので別れる気はありませんし、ごめんなさい』って言ってたよね」
「うわぁ……。めちゃくちゃ、覚えてらっしゃる」
「そりゃあ、高1の思春期真っ盛りな男子からすれば、衝撃的な断り方だったからねぇ。でもさ……あれ、うそだよね」
頬や耳を手で撫でると、藤崎はぴくぴくとくすぐったそうに目を細める。
「な……なんで?」
「藤崎のお兄さんに確認した。彼氏なんて一度もできたことないって教えてくれたよ」
「ええっ!?」
「で、あのときはうそだとして、今は? 体の相性がよくないとだめ? それとも、内面重視?」
服の上から胸と乳首を撫で回すと、藤崎は「あっ」と小さく声をもらす。
「どっちも……大事……んう」
目をうるませて俺を見てくる藤崎がかわいくて自然と口づけると、あたりまえかのように舌を絡めてくれる。
「っ……俺との相性は、どうですか?」
「え……と、いい……です」
「じゃあ、内面や外見は?」
「そちらも……いいです」
恥ずかしそうに目を伏せる藤崎。
――え、本当に?
体の相性も、内面や外見もいいと思ってくれてるなら、関係も発展できるのでは? と期待に心が躍る。
「……俺、藤崎のことすきだよ」
「……」
黙ったまま俺を見つめてくる藤崎。
その目が、本当に? と問いかけるように揺れる。
「セフレから始まったけど……、本当はセフレじゃいやだ。恋人になりたい。俺と付き合ってほしい」
「……っ」
藤崎の目がさらにうるんでいく。
「藤崎が不安になったり……悩んだりするヒマもないくらい、大事にする。俺の特別な人に、なってください」
「……は、い。私でよければ……っ」
ぽろぽろと大粒の涙がこぼれていく。
了承を得て嬉しいけど、泣かせてしまったことに焦る。
だけど、藤崎は泣いてる顔もかわいい。
「本当に? 取り消しさせないよ?」
俺の言葉に藤崎はコクコクと必死にうなずく。
「ありがとう。嬉しい。すきだ、だいすき」
これでもかってほど、藤崎をやさしく抱きしめた。