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春雷に君
第5章 春雷
丁寧に、丁寧に、藤崎を抱く。
すきという感情が溢れて、抱きながら泣いてしまいそうだった。
「あっ……そうご……っ」
藤崎が俺の名前を呼んでくれる。
「みやこ……みやこ……」
名前を呼ぶたびに藤崎のナカが反応してくれる。
――初めて話したあの日から……。
「すきだ……っ、ずっと隣にいてほしい……」
「……ぐずっ……うん……」
また泣かせてしまった。
「泣かないで。泣いてる顔もかわいいけど、みやこは笑ってるときが最高にかわいいから」
「……ふふ……」
泣きながら笑ってくれる。
――ああ、もうイキそうだ……。
「もう……出そう。……出していい?」
「うんっ、出して……」
とろんとした目で言われてゾクゾクとする。
何度か腰を打ちつけたあと、欲を吐き出した。
やわらかい体をぎゅっと抱きしめる。
――本当のことを知ったら、君は、どう思う?
再会したのも偶然でなければ、藤崎がセフレと関係を切れるようにと裏面工作をしていたことを知ったら、俺のことをきらいになるだろうか。
――いや、これは墓場まで持っていこう。
たとえ、いつかこのことを知られても、きらわれたとしても俺は後悔しない。
俺が藤崎をひとりじめしたくてやったことだし、今こうやって藤崎は俺の腕の中にいる。
「……愛してる」
自然と口から出た言葉に自分で驚く。
ちらりと藤崎を見ると顔を赤くして戸惑っているけど、ナカが俺のをぎゅっ、ぎゅっと締めつけてくれるから、それが答えなんだと前向きに捉えておく。
窓の外から雷の音が聞こえる。
――あの日、俺の心に雷が落ちた。
なんて恥ずかしくて君には言えないけど、
君と目が合った瞬間、
確かに俺の心は震えたんだ。
春雷に君は、ずるい組み合わせだ。
*****
―― 終 ――