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花の香りに酔う如く
第2章 月下美人の夜②〜律

実家は大きなお寺だった。
父親は住職で、
小さな茶道の流派の家元をしていた。
茶道と言っても、
おままごとみたいな小さな茶器で煎茶を淹れる方で、
マイナーなこと、この上ない。
母親と祖母は、
いけばなを教えていた。
そういうこともあってか、
家にはいつも他人が誰かしら居た。
僕は人嫌いというか、
うるさいのが苦手で、
ヒトの気配がすると、
そっとお辞儀をしてそこから離れるような子供だった。
男ばかりの3人兄弟で、
6歳上の兄の慧(けい)は、
物静かながら快活に他のヒトと話をする。
6歳下の弟の空(そら)は、
ヤンチャで物怖じもせず、
平気で知らない大人たちの中に入っていっては、
母や祖母に小言を言われながらも可愛がられていた。
そんな中で、
僕は存在感も愛想もなく、
いつも部屋で本を読んでいるような可愛げのない子供だった。
「律(りつ)さん?
ちょっと来て?
沙羅(さら)ちゃんと遊んであげて?」と母に言われて、
渋々、本を片手に客間を覗き込んだ。
その日は朝から、
「月下美人、今夜には咲くかしら?」と母がソワソワしていて、
多分、お茶かお華の稽古に来ている中で、
とても母が親しくしているヒトに声を掛けているようだった。
客間には大人に混ざって、
人形みたいな女の子がちょこんと座っていた。
「良かったわ。
空ったら、乱暴で沙羅ちゃんの髪を引っ張るんですもの。
沙羅ちゃん、律さんなら大丈夫よ?
ほら、律?
沙羅ちゃんと遊んであげて?
私、お茶を持ってくるから」と言って、
ソファの隣に僕を座らせた。
父親は住職で、
小さな茶道の流派の家元をしていた。
茶道と言っても、
おままごとみたいな小さな茶器で煎茶を淹れる方で、
マイナーなこと、この上ない。
母親と祖母は、
いけばなを教えていた。
そういうこともあってか、
家にはいつも他人が誰かしら居た。
僕は人嫌いというか、
うるさいのが苦手で、
ヒトの気配がすると、
そっとお辞儀をしてそこから離れるような子供だった。
男ばかりの3人兄弟で、
6歳上の兄の慧(けい)は、
物静かながら快活に他のヒトと話をする。
6歳下の弟の空(そら)は、
ヤンチャで物怖じもせず、
平気で知らない大人たちの中に入っていっては、
母や祖母に小言を言われながらも可愛がられていた。
そんな中で、
僕は存在感も愛想もなく、
いつも部屋で本を読んでいるような可愛げのない子供だった。
「律(りつ)さん?
ちょっと来て?
沙羅(さら)ちゃんと遊んであげて?」と母に言われて、
渋々、本を片手に客間を覗き込んだ。
その日は朝から、
「月下美人、今夜には咲くかしら?」と母がソワソワしていて、
多分、お茶かお華の稽古に来ている中で、
とても母が親しくしているヒトに声を掛けているようだった。
客間には大人に混ざって、
人形みたいな女の子がちょこんと座っていた。
「良かったわ。
空ったら、乱暴で沙羅ちゃんの髪を引っ張るんですもの。
沙羅ちゃん、律さんなら大丈夫よ?
ほら、律?
沙羅ちゃんと遊んであげて?
私、お茶を持ってくるから」と言って、
ソファの隣に僕を座らせた。

