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花の香りに酔う如く
第14章 カサブランカに惑う②〜律
きちんと浴衣に着替えてから、
脱ぎ散らかした着物を丁寧に衣桁に掛けたり、
洗濯物を纏めたりする沙羅ちゃんをぼんやり見ていると、

「律さん?
どうしたの?」と、あどけない顔で笑う。


「沙羅ちゃんに骨抜きにされてる」と言うと、

「えっ?」と紅い顔をする。


「僧侶なのに、良いのかなと、
いつも終わった後に考えてしまう」と言うと、

「骨抜きにされてるのは、
私の方です」と言って、
首に手を回して背伸びしてキスをする。


「だから、抱けなくて。
そしたらさ。
住職や父が、
『花を愛でるようにすれば良い』って言うから、
良いのかなって思えた」
と抱き締める。


「極上の香りがする花だよ?
沙羅、愛してる」と言うと、
沙羅ちゃんも「愛してます」と言って、
キスを強請る。


「ダメだよ?
そんなキスをされたら、
また、抱きたくなるから」と言うと、
沙羅ちゃんは頬を紅くする。



「それにさ。
他のオトコに囲まれてると思うと、
嫉妬でどうにかなりそうになる。
お茶の稽古もだし、
慧兄さんや、
弁護士事務所での仕事ですら…」

「やだ。
律さんたら?」



沙羅ちゃんは、少し困惑した顔をする。


「夜も抱きたい」と耳元で囁くと、
沙羅ちゃんは恥ずかしそうに頷く。


「お夕食の支度、してきますね?
律さんは本堂とここの戸締まり、
お願い出来ますか?」と言われて、
もう一度キスをして、
下に落とした洗濯物を拾い上げて、
沙羅ちゃんは部屋から出て行った。



大人気、なかったかな?


と思いながら、
戸締まりをしていく。


本堂に備えられていた純白のカサブランカの花粉が、
ふっくらと燃えるようなオレンジ色に芽吹いているのを見て、
それが香りの元だったんだなと気づく。


懐紙を出して、
沙羅ちゃんがしてるようにそっと花粉を取り除くと、
少しだけ香りが和らいだ気がした。





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