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花の香りに酔う如く
第16章 月下美人で授かる②〜律
月下美人の香りに翻弄されるような、
情熱的な一夜を過ごして、
沙羅ちゃんは妊娠した。


周りはとても喜んでいて、
勿論、僕も物凄く喜んでいた。

嬉し過ぎたのかもしれない。

いや、なんていうか、
子供を授かった沙羅ちゃんは、
それまで以上にピュアで神聖な感じがしてしまって、
触れるのもそっとという具合になってしまって、
勃たなくなった。



正確には、勿論、勃つけど、
いざってなると、
フニャフニャと力なく萎んでいく感じで、
それを隠すように、
沙羅ちゃんを気遣うようなことばかり言って、
それも辛くなってきて、
キスもしなくなっていった。


それでも、仔猫のように丸まって僕の腕の中で寝息を立てて、
安心しきっている沙羅ちゃんは、
誰よりも愛おしく思えた。



でも…。

これからもずっと、
勃たなくなったら?


そう思うと、
時々、叫びそうになったり、
あるいは嫌な汗をかいて目が覚めたりした。



もう引退してしまった、
沙羅ちゃん似のAV女優のビデオをコソコソ観ながらだと、
勃つし、射精もした。

どうしたんだろう。


沙羅ちゃんにくっついて、
甘い香りを感じて、
どこに触れても柔らかくて白い肌にそっと指を這わせると、
カチカチに硬くはなる。

それなのに、
いざ…と思うと、
途端に硬さが和らいでしまう。



焦りや怒りや不安で、
自分が前以上に無口でぶっきらぼうになっていくのを自覚していた。



里帰り出産をすることになって、
しかも、帝王切開になったりして、
痛々しさも感じて、
益々、沙羅ちゃんとの距離が広がる。


間に子供が居るおかげで、
その距離を沙羅ちゃんは感じて居ないようだったのが救いだった。
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