この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
花の香りに酔う如く
第16章 月下美人で授かる②〜律
「…兄さん…?」

僕は息を呑んで固まってしまった。


慧兄さんは少し困った顔をして、
袂からハンカチ代わりの手拭いを出して涙を拭うと、
少しだけ笑って言った。



「それこそ、勃たないんだよ。
兄弟揃って、
困ったもんだよな?」


「えっ?」



慧兄さんは、二煎目のお茶を淹れてくれる。

そして、暫く茶碗の中のお茶を見つめていた。


僕は混乱してしまって、
なんて言えば良いのかも判らなかった。




「結婚生活で散々な目に遭ったからかな?
酷い女だったよ。
散々、浮気してたし、
それは、僕では物足りなかったからだと詰られて。
でも、押し倒していきなり、舐めてきたり、
股間を顔に押し付けてくるような、
なんていうか、慎みも恥じらいもないような女性は、
どうしても魅力は感じなかったから、
なかなか勃たなかったし、
離婚してからも、どうももう、女は懲り懲りでね」


僕は、慧兄さんが結婚していた相手の顔を、
思い出すことも出来なかった。

酷く濃い化粧と、
きつい香水の香りしか印象は残ってなかった。



「それに比べたら、
沙羅ちゃんは本当に優しくて、控えめで、
でも、芯が強くて。
律は幸せ者だよ」と、慧兄さんは笑う。


僕は思わず、
言ってしまった。


「沙羅ちゃんとなら、
きっと出来るよ。
それに、
兄さんとしてる沙羅ちゃんを観たら、
自分もちゃんと勃って、
出来るような気がする。
そんなこと言うの、どうかしてるのかな?」



慧兄さんは、冷めたお茶を飲み干すと、
「もう遅いから寝よう。
律、疲れてるんだよ。
おやすみ」と言って、
そのまま、客間から出て行った。


僕は、兄さんが淹れてくれたお茶を、
暫く見つめながら泣いていた。



月下美人の香りが、
まだ、僕に纏わりついていた。
/235ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ