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花の香りに酔う如く
第7章 金木犀の香りほどの不安①〜沙羅
「あ…れ…?
誰も居ない?」と思って、
本堂の襖を開けながら進むと、
普段入らない奥のお部屋に住職様が座ってぼんやりしていた。


「あ…。
お邪魔ですよね?」と言うと、

「そんなこと、ないよ?
おいで?」と言って、
手招きをしてくれる。

隣に座って住職様が観ていた方向を見ると、
丸窓の向こうの紅葉した樹々が美しかった。


「ここ…お茶室なんですね?
炉が切ってある」
と言うと、

「亡くなった女房が、
ここでお茶を教えてたんだよ。
茶会をしたこともあったな」と静かに話してくれる。


床の間には古い掛け軸と香炉が置いてあるけど、
何年も焚かれてないようだった。


「お香、焚きましょうか?
その後、お茶も点てますね?」と言うと、
嬉しそうな顔をする。


「炉開きしないとダメだけど、
今日はお台所でお湯、沸かして持ってきますね?
お水屋、見ても良いですか?」と言うと、
静かに頷いた。


奥の水屋を見ると、
とても綺麗に整頓されている。
お道具を入れた桐箱には、
側面に丁寧に中身が書かれた紙が見えるように挟んである。

普段のお稽古用のものは、
棚に伏せて置かれていたけど、
まるで、昨日まで使われているようだった。


丸いお盆に、お茶碗や茶筅、茶杓と棗を出して、
真新しい麻の茶巾も出す。

銀瓶もあったので、
それをポットの代わりに使おうと思って、
丸盆では載せきれなくて、
大きなお盆に載せると、

「ちょっとあちらで洗ってきて、
お湯も沸かしてきますね?」と言って、
廊下を歩いて行くと、
途中で律さんが何かの箱を持って別のお部屋から出て来た。


「あれ?
沙羅ちゃん、重たくないの?」と言って、
箱を下ろして大盆を持ってくれる。


「これは?」と訊かれたので、

「奥の茶室でお茶を点てようと思って。
律さんもお茶の時間にしたら?」と言うと、

「そうだね?」と笑ってくれた。
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