この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
花の香りに酔う如く
第7章 金木犀の香りほどの不安①〜沙羅
着物はこちらに持ってきてないので、
部屋着のワンピースに帯紐をベルトのように巻いて、
帛紗を腰につける。

お茶の前に、頂き物の和菓子を帛紗に載せて出した。

住職様が動かなくて良いようにと、
律さんが住職様に渡してくれて、
自分の分も取る。

先にお菓子を食べて貰っている間に、
丁寧に薄茶を点てて、お出しする。


お茶碗は2つだけ洗っていたので、
取り敢えず、2人に出すと、
住職様が、

「美味しいな。
久し振りにこんなに美味しい抹茶を飲んだよ?」と笑う。


いやいや。
そんなことはないハズで、
住職はお呼ばれもされるし、
茶会なんかにも招かれることがあるだろうし。


律さんは、生真面目な顔で飲んで、
茶碗をお作法通りに回して返した。


私はそのお茶碗をお湯で洗って茶巾で拭いて、
もう一服点てると、
お相伴させて貰った。


「着物だったら、
もっと可愛いだろうな」と住職様が言うので、

「着物はこちらに持って来てなくて…」と答えると、

「そうだ。
奥の部屋に、着物、あるよ?」と言って、
立ち上がると、
「おいで?」と言った。


そこには、立派な対の桐箪笥が置かれていて、
大きな姿見や衣桁なんかもあった。


「女房が着物をここに置いてて、
着替えたりしてたんだよ。
毎日、ここで着替えていた。
寝る時は浴衣みたいなのだったけど、
本当に毎日、着物だったな。
沙羅ちゃん、良かったら時々、着て欲しいな。
こっちの箪笥のは、多分茶会用の良い着物だよ。
勿体ないって、あんまり着なかったみたいだ。
普段着は、こっちの普通の箪笥に入れてるって言ってたから、
それは古着みたいで嫌だろうから、
良い方の着物、着て欲しい。
背の高さも体型も、似てるから」と言われて、
少し戸惑ってしまう。


「あの。
そんなに大切なものを私なんかが…?」


「沙羅ちゃんだから、着て欲しいんだよ。
着物なんて、
着てあげない方が可哀想じゃないか」と言われて、
私は頷いてしまった。


「もうすぐ11月だから、
畳を替えて、炉も開いておこうかな?
出入りの業者に連絡しておくよ。
沙羅ちゃんにお茶、点てて貰って飲んでたら、
若返りそうだよ」と、
嬉しそうに笑う住職様は、
なんだか可愛らしく思えた。
/235ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ