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彼女はただ満たされたい
第2章 彼と彼と私
 なぜ、こんなことになったんだろうと思ってしまう。
 私の望んだ結果。好きな二人と一緒にいれる。幸せなのだけれど、人に胸を張って話すことができないこの状況は、自分でも異常だとわかっているし、違和感を覚えずにはいられない。
 始まりは健司の妙な提案を受けたことだった。
「僕で物足りないのなら、もう一人彼氏を作ってもいいよ」
 セックスが物足りないと思っていることを見透かされているとは思わなかった。
 そんなことするべきではないだろうと最初は思っていた。それでもいつしか、私は健司の言葉に甘え、元彼の充と会って、交わり、復縁を取り付けた。
 体が満たされたかった。
 充のことを話すと健司は驚きつつも、笑って今度紹介してねなんていっていた。
 二人に罪悪感がないわけではない。
 もう一人彼氏を作った私も私だが、そんなことをいい出した健司が悪いと思っているところはある。
 いつまでもこのままではだめなんじゃないか。
 そんなことを思いだした今日この頃ではあるけれど、私はまだ答えを出せずにいた。

 マイクを両手で握りしめて流行の歌を大熱唱している充と、その曲を聞きながらリズムをとっている健司。
 私の彼氏ということで知り合った彼らは、連絡先を交換してたまにこうして三人でカラオケに行こうと誘ってくる。
 二人に会えるのは嬉しい。けれど、それぞれに向ける顔もあるし、いつもより気を使ったりするのは確かで少し疲れる。
 充は、健司と付き合うにあたって一度別れているのだけれど、私との体の相性がよくて、渋々健司のことを認めて復縁した感じ。付き合っていた頃はそれなりに優しかったし、愛してくれていると感じさせてくれた。それなりにぶつかることも多かったけど。
 それとは反対に、私のことをなんでも受け入れてくれて、ずっとにこにこと優しく笑いかけて大切にしてくれる健司。だだ、正直何を考えているのかわからないところが多くて、私の中にもやもやが生まれてしまう。
 それぞれに違うけれど、私は二人を同じように愛しているし、必要だと思っている。
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