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彼女はただ満たされたい
第1章 元カノは今日も中に招く
「彼と別れるのは無理。みっちゃんとセックスできないのも無理。私には二人が必要なの。心と身体が健全である為には」
 真剣にそう語るゆりは強欲だ。
「それに、みっちゃんはきっとまた来るよ。いつもそういってるでしょ?」
 毎週このやり取りを繰り返し、ゆりのいう通り俺は毎週ここへのこのことやってくる。
「付き合ってくれないならもう来ない。今回は本気だ」
 そういいながら目を逸らしてしまうのは意思が弱いからだろうか。
「それでもみっちゃんは来る気がするなぁ。それに、付き合うのはいいんだよ? 前にもいったでしょ? 一回別れちゃったけど、また会ってこうやってエッチするようになって、みっちゃんのこと本当に好きだって、大切だって、離れられないって思ったって。だから、彼ともみっちゃんとも真剣にお付き合いしたいって」
 これを聞くたびにため息が出る。
 二人と真剣にってなんだ? 大切なのにこの仕打ちか? いい出せばキリがないし、喧嘩になる。それは嫌だから黙るしかない。
「だから、みっちゃんが彼と別れろっていわなかったら付き合うよ。彼と同じように大事にする。時間だって、平日は彼と過ごすけど、休日は全部みっちゃんに使うよ」
「もういい」
 ゆりの主張を聞いていると頭が痛くなりそうだった。
 自分の都合と欲求のことしか考えていないゆりに、なんでこんなにもどっぷりとハマっているのか自分でもわからない。
 付き合っていた頃はこんなことをいい出すような女じゃないと思っていたが、猫をかぶられていたのだろうか。
 俺は目の前に並ぶ料理をとりあえず口に詰めていく。腹が空いているから悪いことばかり考えてしまうんだといわんばかりに。
 ゆりは横で美味しそうに料理を口に運ぶ。
 美味いのかどうか俺にはもうわからない。
 目の前の料理が片付くとゆりがいった。
「お腹も満たされたし、もう一回しよ」
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