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先生の言いなり
第3章 - Ep.2 ジッコウ -
そして期末テスト当日がやってくる。
みんなが必死に問題を解いている音が教室に響く。
そんな中私は問題用紙をぼーっと見つめ解く問題、解かない問題…更には間違える問題を見定めていく。

「わざと」間違える方が大変だった。
あの日、先生のあの目を見た瞬間にこの計画を実行しようと覚悟が決まった。

理由はひとつ。
私もあの視線を向けられたい。

そんなやましい理由で、期末テストの現代国語のテストで赤点を取る。周りから見たら充分引かれる要因ではある。

何か言われたら『体調が悪かった』とか適当に理由をつければいい。
テスト開始から20分が経過した時、沢渡先生が教室へ入ってくる。
質問があればとくるりと教室内を回る。
シンとした空気、手を上げる生徒なんて居ない。
先生はそれを確認したあと、テスト監督の先生に頭を下げて教室を出て行った。

私の馬鹿げた計画がバレなかったことにホッと胸を撫で下ろし、赤点は確実であろう答案用紙を裏返す。
罪悪感を感じながらもテストの残り時間は机へうつ伏せお昼寝タイムへと変わっていった。





遂にその日はやってきた、現代国語のテスト返却日。
いつも通りの挨拶が施され沢渡先生が教卓の向こう側へ立つ。

「この間のテスト、返すからなー。 名前呼ばれたら取りに来いよ」

先生がそう告げた後、パッと目が合う。
困った様な…「なんでお前が?」と言うような視線。
そんな先生の顔を見て、口角が緩む。

つまらなかった日常が変わり始めた、そんな気がした。
何故もっとこの計画を実行しなかったのか…あの日キッカケをくれた女子高生に感謝しなければ。

そんなことを思いながら緩む口角を隠すように手で隠した。

「 成海 」

先生が私の名前を呼ぶ、高鳴る鼓動を抑えるように小さく返事をして教卓前へゆっくり歩いていく。
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