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第2章 － Ep.1 キッカケ －

そして、授業開始のチャイムが鳴れば先生の前に居た女子生徒達も各々の席へも戻っていく。

「それじゃぁ、テスト返却するからな」

先生のそんな言葉にクラス内の空気がピリッと緊張感に包まれる。
友人曰く難しかったらしいので、そのせいだろう。
しかし自分には関係ないと言った形で机にうつ伏せた。

先生の声が生徒一人一人を呼んでいく。
先生は返却する際に、その子にあった言葉を告げるからテスト返却はとてもゆっくり。
だからいつも2時間に分けないとテスト問題見直しの時間が取れない。
でもまぁ。それも先生の良い所だし、人気な理由だろう。
こんな馬鹿真面目な先生なんて彼くらいだなぁなんて1人納得していれば、自分を呼ぶ先生の声がした。


「成海〜、成海文。居ないのかー？」


「あっ。すみません」


返事をして教壇の前に立つ。


「惜しかったな。しかしまぁ、お前だけだぞ？90点台」


そう告げ、渡される 98点のテスト用紙。
間違えた場所を確認すればテスト中2択で迷ったところだった。


「あー…、やっぱりここだったか」

「やっぱり？」

私の言葉に沢渡先生は首を傾げた。そんな先生をちらりと見れば再びテスト問題に目を移す。

「ここ、答えって多分 A ですよね」

「あ、あぁ。 分かってて間違えたのか？」

「違います。C と迷って。 みんなが難しいって言ってたところってここだったのかなと。先生の引っ掛けにまんまと騙されました」

そう告げて先生を見れば、困った表情(かお)でポリポリと頬を掻いていた。