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先生の言いなり
第5章 - Ep.4 カガイ カツドウ -
「んっ…ぁ、」

したい、もっと…。
先生とこの先がしたい。
そんな気持ちで、自分からも先生に舌を絡めていく。
一瞬驚いたように動きと手が止まり、唇を離された。

「…先生どして?」

トロンと蕩けた視線で先生を見つめる。
そんな私を見て口元を塞ぎ視線を逸らす先生、大きく深呼吸をしたかと思えばくしゃくしゃと頭を撫でる先生。

「止まらなくなる」

その一言だけ言い放ち、ローターのスイッチが切られれば車が発進する。
頭の中でグルグルとその言葉がリピートされる。
それは期待していいの?
結局答えが分からないまま車は先生の家に着いてしまった。

「車、置いてくるから先に部屋入ってて。荷物も持っていけよ〜、ほら」

そう言って部屋の鍵を渡される。
車を降りれば買ってくれた服の紙袋を手にして、エナメルを肩に掛ける。
私が降りたのと荷物を全部持ったのを確認すると車はアパートから少し離れた駐車場へと向かって行った。

「…止まらなくなるって、止まらなくなればいいのに」

ぽつりと呟いて外階段を上っていく。
部屋の鍵を開け中へ入る。
「お邪魔します」なんて言葉を誰もいない部屋に投げかけ靴を脱いでリビングへと進んでいく。
荷物をソファの横へと置いて、くるりと部屋を見渡す。
朝は気づかなかった、窓際にサボテンが飾ってある。
思わず近くまで進んでしまう。

「…サボテン?」

「なーに見てんだ」

じっと見てれば後ろから声が聞こえた。
先生が駐車場から戻ってきていたらしく、ふっと優しく笑いながら言う。

「あっ、ごめんなさい。勝手に」

「別にいいよ。それ、欲しいのか?」

「いや、なんでサボテンなんだろうと思って」

「サボテンいいぞ〜?世話は楽だし、そうやって窓際に置いとくと悪い気を追い払ってくれるんだ」

先生の言葉に思わず真顔になる。
この人は何を言ってるんだろうと。
そんな私に先生は続ける。

「お前、嘘だって思ってるだろ。お得意のスマホとやらで調べてみろ。ほんとにそうやって書いてあるから」

そう言いながらコーヒーメーカーのスイッチを入れる。数分経てばコーヒー豆の香りが鼻をくすぐる。

「いい匂いする、先生コーヒー好きだね」

「まぁ、な」

挽かれたコーヒーをカップに注ぎ、ミルクも砂糖も入れずに飲む先生を見ながら先程の質問を投げかけてみる。
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