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すぐ読める官能小説集
第3章 今夜は甘々で
「うーん。なんか蚊が鳴ってる?」
寝ぼけ眼で、周りを見渡す。
蚊だから見渡したって、わからないけど……。

違う。
蚊じゃない。
私の掌にブルブルとした刺激が……...。

「あ!! 思わず声をあげた。蚊の正体はスマホだった」
すぐ電話に出た。

「ごめん。寝てた」
「寝てたってなんですか。こっちは仕事終わってすぐ駆けつけたっていうのに、締め出しはキツイすよ」

こういう軽口はダメだって散々注意したけど、直らない。
でも不思議としもべは、この軽口が似合ってしまってて、お客さんや上司にも受けがなぜかいい。

逆に私はいつもツンツンしてるからか、受けが悪い。
「しょうがないでしょ。坂田部長に怒られて疲れてたんだから」
「どうせまたストゼロ煽ってたんじゃないんですか?」
図星だった。

「うるさい。早く上がって来なさい」
呼びつけておいて、この言い草はない。
そんなことわかってる。

「早く上がって来なさいってなんすか。てか、エントランス開けてくれないと入れないす」
「そんなこと知ってる。今、開けるからちょっと待ってて」
私は千鳥足になりながら、インターフォンに向かう」
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