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すぐ読める官能小説集
第3章 今夜は甘々で
「わかりましたよ。じゃあ、膝枕の刑でいいんで、膝に頭乗せていいっすよ」
こんな余裕シャクシャクに言われる逆に気が引ける。

『調子狂う。でもここで引き下がっちゃいけない』
引き下がったら、ご主人様としもべの関係が崩れる。

「口の聞き方に気をつけて。しもべなんだから」
「ハイハイ。わかりましたよ。ご主人様」

『ご主人様……』
その言葉の響きに、気を取り直す私。

そして、頭をしもべの膝に乗せる。
『あったかい』
イヤなことがあった日は、人の温もりが恋しくなる。
だから、しもべを家に呼んだ。

「どうすっか? オレの膝は……」
「なかなかいいよ。硬さが私にちょうど合ってる」

どうでもいいけど、しもべはさっきから軽口と丁寧語が混じってる。

このまま膝の上で、寝てしまいそうになるけど、そこはガマン。

「先輩って……あれっすね。毛並みがいいですよね」
そう言って、しもべは勝手に私の頭を撫でる。

『勝手に撫でるな。それに毛並みってなによ。ネコじゃないんだから』

心の中で反発してるはずなのに、頭を撫でられてまんざらじゃない私。

「しもべ。先輩って呼ばないでよ。今は仕事じゃないんでしょ? だったらちゃんとご主人様って言いなさい」
頭撫でられてるネコが言うセリフじゃない。

もちろん、私はネコじゃなくて飼い主、ご主人様なんだからそれでいい。

「すいませんでした。ご主人様……ご主人様。このまま膝枕の刑を続ければいいでしょうか?」
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