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貴方を諦めます
第6章 貴方を諦めます
こんな事は初めてだった。


涼ちゃんに引き止められたことなんて今まで一度だってなかった。


いつもなら「涼ちゃんまたね」と言って教室を出る私を「うん」とだけ返事するだけだった。



「どうしたの?」

「話がある」

「今?」

「うん」


これで最後。


次に会うのはきっと卒業式だと思うから。







「何で俺の事避けるの?何かした?」


教室から殆どの生徒が出ていった頃、涼ちゃんは喋りだした。



「香織?」


何も言えずに俯く私を涼ちゃんは責めたりしない。



「……涼ちゃん、ごめんね」

「何が?」

震えてる私の小さい声をしっかり聞き取ってくれる。
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