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密会
第12章 🌹March🌹(終章)-3



「頼む、止めてくれ。今朝、俺はお前を自由にすると腹を括ったばかりだ。お前は俺という支配から逃れて自由に生きるべきだ。最初からお前は俺の女ではないのだから。お前の言葉は嬉しいよ。だが決意が揺らぐ。止めてくれ。」



「そんな自由、要らない。手に入れた所で黎一さんが居ないなら意味が無い。要らない、欲しくない。」




「お前...俺を受け入れるという意味が分かっているのか?ただ交際を始めるとは訳が違う。一生の伴侶になると誓うようなものだ。俺と添い遂げる覚悟が無い、生半可な気持ちで来られても困るんだ。
今度こそお前は俺から逃げられなくなる。本当に分かっているのか?」



「もちろん、分かってる。私は凄く優柔不断で人に流されてしまうけど、でも同情や優しさで、自分の結婚相手を決める程、馬鹿じゃない。これは私の意思で選んでいる。だから絶対後悔しない。貴方がいいの。貴方しかいないからそう言ってる。」



「俺は嫉妬深い。独占欲も支配欲も人一倍強い。普段は何とか抑えているが、恥ずべき事に昨日のようにコントロールが効かなくなる場合がある。そんな恐ろしい男をお前は夫に迎え入れる気か?」


「黎一さんは恐ろしい男じゃない。私を無理矢理抱いて、罪悪感に苦しんで最後は私に黙って退職願まで提出しようとしていた貴方が同じ過ちを繰り返すわけがないじゃない。貴方はその分を取り返すように私の為にこれから惜しみなく愛情を注いでくれるだけよ。
貴方はそういう人でしょう。違う?」


美月の問いかけに対し、彼からの反論は無い。
限りなく正論に近かったのだろう。
彼は押し黙ったまま、彼女を抱きしめた。

沈黙を貫く彼の温かい体温を感じながら、
美月は握りしめていたリングケースにふと目線を移すと、ゆっくりと口を開いていった。

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