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私のお部屋
第10章 運命の出逢い
ようやく東の空が明るくなり始めた。
『今日も気持ちのいい朝になりそうだな』
つい運転しながらも空を見てしまい
前方の注意がおろそかになった。
次に圭一が前方に視線を戻したときには
女性が一人路上に佇んでいた。
「いけねっ!!」
圭一は慌てて急ブレーキを踏んだ。
アンチロックブレーキが作動して
マイカーはガクンガクンしながらも
未明の交差点にタイヤを軋ませる音が響いた。
ハンドルをギュッと握りしめて
ドンっと当たる衝撃がないことを祈った。
車が急停車したのを確認して
圭一は恐る恐る目を開いて前方を確認した。
そこに女性は立っていなかった。
『跳ねたか?』
いや、車には当たったような衝撃は感じなかった。
圭一はサイドブレーキを引くと
急いでシートベルトを外して車外に出た。
不安げに車の前方を確認しにゆくと、
女性は頭を抱いてうずくまっていた。
「おい君!大丈夫か?」
圭一は女性の肩を抱いて外傷がないかを確かめた。
幸いなことに衝突しなかったようで
怪我はないようだった。
「ごめんなさい…」
か細い声で女性が反応した。
『よかった…』
どうやら無事のようだ。
ホッとすると共に怒りがこみ上げてきた。