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私のお部屋
第10章 運命の出逢い
気がついたら帰ってもいいと医者が言ったので
圭一は女を連れて会計を済ませようとした。
「健康保険証はお持ちですか?」
夜勤明けなのだろう
会計の女は気だるそうにそう言った。
「君、保険証持っているかい?」
圭一に尋ねられたが
家に置いたままなので「持っていないわ」と
正直に答えた。
「そうなりますと実費になりますので
3万五千円になります」
「えっ?」
おいおい…給料日前だっていうのにさあ…
まあ、これも自分のわき見運転が原因だからと
仕方なく圭一は支払いを済ませた。
「何から何までごめんなさい…」
女はしおらしく頭を下げた。
気が動転して気づかなかったが
どうやらまだ高校生のような
幼い顔立ちの女だった。
「送っていくよ
家はどこだい?」
そう尋ねると、言いたくないという風に
女は口を真一文字に閉じた。
『おいおい…まさか家出少女かぁ?
厄介なものを拾っちまったなあ…』
面倒だとは思いながらも
このままにしてはおけず
「よかったらうちに来るかい?」と尋ねた。
途端に女の顔がパアッと明るくなって
「お願いします、私、行くところがないんです」と
ペコリと頭を下げた。
「落ち着いたらちゃんと家に帰るんだぞ」
仕方なく圭一は女を部屋に連れ帰ることにした。