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私のお部屋
第10章 運命の出逢い
「ところであんた、名前は何て言うんだ?
俺は圭一、津田圭一って言うんだ」
名前を聞くのに
ちゃんと先に自分から名乗る圭一に
由香を好感を抱いた。
「私は…由香…」
名前を告げるのがやっとだった。
いくら好感を抱いたとは言え
全てをさらけ出すつもりはなかった。
「由香ちゃんかあ…
うん!いい名前だ!」
ちゃん付けで呼ぶなんて!
失礼だわと思いながらも
自分ってそんなに幼い顔立ちに見えるのかしらと
早く女らしくなりたいわと
自己嫌悪になりそうだった。
「さあ、着いたよ
汚い部屋だから遠慮なしでどうぞ」
圭一の部屋は
本人が汚いという割りには片付けされていて
こじんまりとした清潔感が漂っていた。
良美先輩の汚部屋とは雲泥の差だった。
「俺、少し寝てもいいかな?
実はさあ、長距離明けでクタクタなんだよね」
「えっ?そうだったの?
ごめんなさい」
「その前に風呂に入るか?
あんた…じゃない由香ちゃんも風呂に入るといい
なんせ、医者に言わせると低体温症らしいぞ」
お風呂かあ…
ありがたかった…
圭一に言われなくても
体の芯から冷えきっていたのだから。
「先にどうぞ
俺は後でいいからさ」
「あの…よかったらご一緒しません?」
「えっ?」
この子、何を言い出すんだと
圭一は狼狽えた。