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私のお部屋
第11章 呼び出し
男が去って寝室に静寂が訪れた。
『いやだわ…
この辛気臭いのってたまらないわ』
元来、人見知りで人付き合いの苦手な桃子だったが
男に抱かれることで生きてゆく糧を手に入れたので
男の声、男の匂い、男の存在そのものを
桃子は欲していた。
明日は誰が来てくれるかしら…
そんなことを考えていると
思考を打ち破るかのように
スマホが激しく震えだした。
「あら、珍しい…
スマホで通話をもとめてくるなんて…」
何人かの男性とのやり取りは
全てLINEだったので
着信があること自体久しぶりだった。
『はっ!もしかして由香だったりして…』
桃子は慌ててスマホの画面をチェックした。
ディスプレイ画面には『PTA会長』と表示されていた。
あら?佐藤久代さん?
何かしら?
PTAの会合はまだまだ先の事なので
彼女から連絡があるなんて特別な用件かもしれない
「はい、桃子です」
『あなたに話があるの
今から学校に来れるかしら?』
その声のトーンは何がなんでも学校へ来なさいという意味合いを含んでいた。
「あの…今からですか?
いったいどんなご用件でしょうか?」
『それはこっちに来てくれてから話すわ
いい?今すぐよ!急いで校長室までいらっしゃい』
憂鬱だわ…
仕方なく桃子は身支度を整えて
学校へ向かうべく自転車にまたがった。