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私のお部屋
第2章 家出
『どしたの?こんな夜更けに…
泣いていちゃわからないでしよ
何があったの話してみなよ』
良美の暖かい言葉に
由香はこれまでの事を一気にしゃべった。
由香の話しを言葉を遮ることなく
最後まで聞いてくれると
『わかった。うちにおいで…
迎えに行くから…
今どこ?』
由香は周りを見渡した。
ポツンとバスの停留所が近くにあったので
急いで駆け寄って、
その停留所の名を先輩に告げた。
『OK、そこなら15分ぐらいで着くよ
いい?そこを離れないでね』
遊んでいるときの15分なんて
あっという間だけれど
夜中の15分は長い。
由香は停留所の物陰に身を潜めて
ひたすら先輩が迎えに来てくれるのを待った。
ほんとに15分後に一台のおしゃれな軽四輪が
バス停に停まった。
「由香?居てる?」
懐かしい良美先輩の声がしたので
由香は急いで物陰から飛び出した。
「先輩…」
「いいから乗って!」
由香が助手席にのりこむと
二人の乗った車は
Uターンして来た道を颯爽と引き返した。
「先輩、わたし…」
「何も言わないでいいよ
私は気ままな独り暮らしだし
落ち着くまでうちにいたらいいわ」
優しい言葉に
由香は助手席で泣きじゃくった。