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私のお部屋
第13章 和解
一方、由香は制服のポケットに
退学届けを忍ばせて
久しぶりに高校の校門をくぐり抜けた。
職員室で豆田先生の姿を探したが
見当たらない。
キョロキョロしていると校長先生が
職員室に入ってきて
職員室を立ち去ろうとする由香と
鉢合わせになった。
「おや?君は確か
PTA役員をしてくれている桃子さんの
お嬢さんではなかったかな?」
あの動画を何度も見ていた校長先生は
すっかり由香の顔を覚えていた。
「君、この頃は不登校何だって?」
無断欠席していることを咎めないで
なんとかこの場にとどまらせて
桃子に娘さんが登校してきた旨を連絡して
二人が話し合いの場を持たせなければと
時間を引き伸ばそうとした。
「いえ…豆田先生とは連絡を取り合ってます」
全てがバレているとも知らず
由香は言い逃れをしようとした。
「はて?豆田先生からは
そのようには聞いていませんが…」
由香はとにかくこの場を早く立ち去りたかった。
「あの、今日は豆田先生は…?」
「ああ、彼なら引っ越しが忙しいとかで
今日はお休みされていますけどね」
由香を捕まえておく千載一遇の機会なのに
豆田先生ったら間が悪いにもほどがあると
校長先生は苦々しく思った。