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私のお部屋
第13章 和解

「ところで、君は今どこで暮らしているのかな?」

ほらきた、どうして大人の人は
居場所を知りたがるの?
私はこうして元気にしているんだから
どこで暮らしていようと関係ないでしょ!

どうせ居場所を教えたら
ママに言いつけて呼び戻しに来るに違いない。

「私は今日、これを豆田先生に
渡しに来ただけです
校長先生、悪いんですけど、
これを豆田先生に渡しておいて下さい」

由香は早口でそう言うと
制服のポケットから
「退学届」を取り出して
校長先生に手渡し、一目散に走り始めた。

「えっ?これって…君ぃ!!」

校長先生は由香を追いかけて走り出したが
定年前のオヤジと10代の若者では
走力に雲泥の差があった。

「お~い!待ちなさい!!」

由香のはるか背後から
校長先生の情けない声がしたが
振り返らずに走り抜けると
その声ははるか後ろに虚しく遠ざかっていった。


次の日の早朝、
圭一は疲れきった表情で帰宅してきた。
今回の輸送はハードだったのか
顔色がすぐれなくて
甘えてその胸に飛び込むことさえ躊躇した。

「由香、ただいまぁ…」

体はクタクタのはずなのに
圭一は由香の顔を見て無理やり笑顔を作った。

「あなた、お疲れさまでした
お風呂、沸いてるわ」

いつもなら、そう言うと
一緒に入浴することをねだってくるのに
この日は「じゃあ、ひと風呂浴びてくるか…」と
由香を誘わずに浴室に消えた。

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