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私のお部屋
第13章 和解
「指輪…左手の薬指に嵌めてくれるかい?」
「うん…でも、自分で嵌めたくないわ
あなたに嵌めて貰いたいわ」
そうだねと
圭一はボックスからリングを抜き取り
由香はそっと左手を差し出した。
ゆっくりとリングが薬指に差し込まれてゆく。
『私、この人の妻になるんだわ』
目に涙が溢れてきて頬を伝う寸前だった。
でも、涙が頬を伝う寸前で
由香は「ぷっ」と吹き出した。
「おいおい、人生最大のイベントなのに
吹き出すなんて失礼だろ」
圭一は頬を膨らませて心外そうに言った。
「だって…あなた、スラックスの前を
膨らませているんだもの可笑しくて…」
「あっ…」
こんなにも真剣なシーンだというのに
『疲れマラ』の症状が…
「あなたと初めてお風呂に入った時と一緒ね」
前を押さえて前屈みになっている圭一に
由香はチュッと軽いキスをした。
たちまち圭一に欲情が訪れる。
一世一代のプロポーズを快諾して貰えたので
ホッとしたのと同時に
由香はもう自分の妻なのだと思うと
激しい欲情が襲ってきた。
「プロポーズ記念日として愛し合わないか?」
圭一の申し立てに由香としては不服などなかった。
「お姫さま抱っこでベッドに連れていって」
そのようにおねだりすると
「かしこまりましたお姫さま」と茶化して
圭一は由香を抱き上げた。