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私のお部屋
第13章 和解

せっかく桃子の家に家財道具を引っ提げて
同棲を始めようとしたのに
その夜は甘いムードに浸ることも出来なかった。

「あの子…堕落した人生を
過ごさなければいいのだけど…」

何だかんだと言いながら
やはり桃子は由香の母親らしく
心配で仕方ないようで塞ぎ込んだ。

『ったく…!親の心、子知らずとは
まさにこの事だな…』

と、その時だった。
今度は桃子のスマホが鳴った。

ハッと我に返った桃子は慌ててスマホを手に取った

スマホ画面に浮かび上がった相手は
心配の種となっている由香本人からだった。

「えっ?!由香?」

桃子は震える指先で通話をタップした。

「あ、ママ?」

桃子の心配など、どこ吹く風で
何事もなく外出先から連絡してきたような
あっけらかんな由香の声がした。

「由香!あんた、どこにいるの?!
ちゃんと食べてるの?
野宿とかしてないでしょうね?」

心配のあまり、桃子の声が裏返るほどの
キンキン声で矢継早の質問をした。

『おいおい、それじゃあ逆効果だろ』

豆田先生は桃子からスマホを奪うと
落ち着いた声で優しく話しかけた。

「由香、もうそろそろママを許してやれ
お前だっていろんな経験をして、
そろそろ帰る気になったんじゃないか?」

- あら?先生…ママと一緒だったの?
今は先生に用はないわ、
ママに代わってくれる? -

おいおい…
お前の義理の父親になるかもしれないってのに
そりゃあねえだろと思いながらも
渋々とスマホを桃子に返した。

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