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第1章 忍び寄る魔の手

こうして俺たちの潜伏生活が始まった。最初に彼が言ったとおり、毎日、アシュラフが食べ物を届けてくれた。それと情報も。彼の話を聞いていると、武装勢力が支配地域を徐々に広げていくのがよくわかった。

そして、昨日、「この街にも、ついにあいつらが来たよ」アシュラフが暗い顔で言った。「自分たちのことを治安部隊って言ってる。市役所も警察も彼らに占拠された。みんな恐々としているよ」

「大丈夫かな。見つからないかな」

「心配するな。ここは大丈夫だと思う。ただ念のため、いつでも逃げられるようにしておいたほうがいいな」

「逃げるって、どこへ逃げるんだ？」

「そうだな。もっと奥の小さな村かな。独立運動のとき一緒に戦った少数民族がいるから、そういうところに助けを求めるのがいいだろう。彼らは、それなりの力を持っている。やつらも簡単には手出しできないはずだ……ん？　どうした、そんな顔をして……大丈夫、君たちには僕がついてる。なんとかするから」

そう言って、アシュラフは励ますように俺の背中を摩ってくれた。