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かくれんぼ
第2章 回想 涼音
俺がこの二人と深い仲になったのは半年程前の事だった。
放課後の校庭に子供達の声が響く。
グラウンドでドッジボールやサッカーをする男の子、縄跳びやケイドロをする女の子。中には家路を急ぐ子もいる。
どの子も元気だ。
「タヌキさん、さようなら!」
「タヌキさん、バイバイ」
作業着に箒と塵取りを持った俺に挨拶してくれる子もいる。
この学校で用務員の仕事に就いてかれこれ二年経つ。
子供達にも顔を覚えてもらえたようだが名前は間違って広がってしまっている。
俺の名前は四月朔日参次(ワタヌキ・サンジ)で「タヌキさん」ではない。
まあ、見た目が歩く信楽焼の狸みたいだから仕方がないと言えば仕方がない。
なにせ中学時代から呼ばれていたので今では慣れてしまい愛嬌のある愛称だと思っている。
目立つゴミを掃除しながら校舎に破損等がないかチェックして回るのがこの時間の俺の仕事だ。
80年代の中高では毎日の様に窓ガラスが割れたり机が校庭に降ってきたりしていたと聞くが今はそんな事は全くない。
実に平和なものだ。
のんびりと校内を一周して最後にたどり着いたのは裏庭だ。
ここにはウサギ小屋が建っていて四年生の子達が当番で世話をしている。
はずなのだが。
小屋の中で掃除をしているのはいつもの女の子一人だけだ。
「こんにちわ。」
声を掛けると女の子は余程驚いたのか中腰の姿勢から上体が跳ね起きる。
「こ、こんにちわ。タヌキさ・・・用務員さん。」
「いや、そこまで言ったなら最後まで言おうよ。」
お互いに苦笑しあう。
背は小柄だがビックリする程大きなバストの上で名札が揺れている。
4年2組蒼真涼音
「今日も蒼真さんが当番なの?」
今日も。
そうここ何日もウサギ小屋の世話をしに来るのは涼音ちゃん一人だけなのだ。
「他の人はどうしたの?」
「・・・皆忙しいって。」
これは面倒臭くなった子等が当番の仕事を一人に押し付けたって図式か。
「それで一人で?」
「餌あげないとウサギさん死んじゃうし。」
クラスメートを悪く言うのは気が退けたのだろう。
論点をずらしての返事に俺は好感を得た。
良い子だな。
「ウサギさん。小父さんも入るけど驚かないでね。」
扉付近にウサギが居ないのを確認して静かに扉を開け中に入る。
放課後の校庭に子供達の声が響く。
グラウンドでドッジボールやサッカーをする男の子、縄跳びやケイドロをする女の子。中には家路を急ぐ子もいる。
どの子も元気だ。
「タヌキさん、さようなら!」
「タヌキさん、バイバイ」
作業着に箒と塵取りを持った俺に挨拶してくれる子もいる。
この学校で用務員の仕事に就いてかれこれ二年経つ。
子供達にも顔を覚えてもらえたようだが名前は間違って広がってしまっている。
俺の名前は四月朔日参次(ワタヌキ・サンジ)で「タヌキさん」ではない。
まあ、見た目が歩く信楽焼の狸みたいだから仕方がないと言えば仕方がない。
なにせ中学時代から呼ばれていたので今では慣れてしまい愛嬌のある愛称だと思っている。
目立つゴミを掃除しながら校舎に破損等がないかチェックして回るのがこの時間の俺の仕事だ。
80年代の中高では毎日の様に窓ガラスが割れたり机が校庭に降ってきたりしていたと聞くが今はそんな事は全くない。
実に平和なものだ。
のんびりと校内を一周して最後にたどり着いたのは裏庭だ。
ここにはウサギ小屋が建っていて四年生の子達が当番で世話をしている。
はずなのだが。
小屋の中で掃除をしているのはいつもの女の子一人だけだ。
「こんにちわ。」
声を掛けると女の子は余程驚いたのか中腰の姿勢から上体が跳ね起きる。
「こ、こんにちわ。タヌキさ・・・用務員さん。」
「いや、そこまで言ったなら最後まで言おうよ。」
お互いに苦笑しあう。
背は小柄だがビックリする程大きなバストの上で名札が揺れている。
4年2組蒼真涼音
「今日も蒼真さんが当番なの?」
今日も。
そうここ何日もウサギ小屋の世話をしに来るのは涼音ちゃん一人だけなのだ。
「他の人はどうしたの?」
「・・・皆忙しいって。」
これは面倒臭くなった子等が当番の仕事を一人に押し付けたって図式か。
「それで一人で?」
「餌あげないとウサギさん死んじゃうし。」
クラスメートを悪く言うのは気が退けたのだろう。
論点をずらしての返事に俺は好感を得た。
良い子だな。
「ウサギさん。小父さんも入るけど驚かないでね。」
扉付近にウサギが居ないのを確認して静かに扉を開け中に入る。