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私たちは、女同士でエッチする
第2章 愛奈と彩乃
「さあ、着いたよ。今日からここが、君の家だ」

「よろしくね、愛奈ちゃん!!」

「はい、よろしくお願いします・・・」

 白のレクサスを降りた先にある、大きな木造三階建ての一軒家を見上げつつ、五十嵐 愛奈はそう答えた。

 彼女の旧姓は板倉、と言った。

 もっとも、それだって本名かどうかはわからない、あくまで施設側が付けてくれた名前でしかないのだから。

 ただし、愛奈と言うのはどうやら、自分をそこへと置き去りにした母親が付けてくれたものらしかった、だからその名前だけが唯一、この幼女と肉親とを繋ぎ止めている、絆の象徴のようなモノだ。

「彩乃は、どうした?」

「いつも迎えに来てくれるのにね、変な子」

 そう呟いて、愛奈の新しい両親となった二人“五十嵐 修志”とその妻“五十嵐 沙織”は困ったような顔をするが何よりも困惑を覚えたのは、実は他ならぬ愛奈だった、と言うのは、この色白華奢な黒髪少女は頭は良いものの少々内気で施設でも、余り他の子供達とはうち解けなかったからである。

 いつも隅っこに一人で座り、本を読んだりテレビを見たりして一日の大半を過ごしていたのだが実際、この五歳の幼女は他人と言うものにそれほど興味を抱かなかった、彼女にとって大切なことは“次の瞬間にも”、“自分が”、“安全で幸福で満たされている現実を送れているかどうか”と言う、その一点だけだ。

 勿論、いじめられたり仲間外れにされたり、と言うのは困るのだが、かと言って面倒くさい、人付き合いも出来ればしたくはなかったのだ。

 何ということは無い、ちょっとしたコミュ障以外の何物でもないと思われるのだがともかく、そんなわけで愛奈は周囲にいる人間達とはだから、喧嘩をしたり、嫌がられたりしない程度に仲良くできればそれで良く、そういう関係を望んでいた。

 そしてそれ故、彼女は困った、特にせっかく新しい第一歩を踏み出そうとしている矢先、義理の姉になるであろう少女とのいざこざは、何としても避けたかったのである。
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