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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第6章 【渦巻く愛憎と独占欲に囚われても…】





「亨さん、あの、コレ……」




そっと携帯を差し出した。
「え…?」と不思議そうな顔。
私から言うのもおかしいのかも知れないけれど、私からも何か与えてあげたくて、でもそれはキスやハグなどではない。
それじゃ追い付かない。
だから私なりの愛情かどうかはさて置き、取り上げたモノをまた返そうとしてる。




「GPS、つけてください、私のこと、ちゃんと管理しておかないと仕事に身が入らないでしょ?」




まだ他にカメラが仕込んであるかも知れません。
でもそれは見逃しておきます。
もし私が気付いたので全部であれば、今恐ろしいほどに不安に駆られているでしょうから。
私が目覚める前に仕込ませようとしていたかもですが。




「十和子………十和子が嫌がることはしたくない、ただ、俺が帰る頃にはこの家に居てくれたらそれで…」




「嘘」




「え?」




「亨さんの嘘くらい見抜けるわ」




「十和子………」




「わかってるくせに、見られてるって思いながら生活するのゾクゾクしてる私を見ていたいんでしょ?亨さんにお仕置きされることが生き甲斐だってことも覚えておいてください」




「十和子に見つかった時はもう終わったと思った……生きた心地しなかったのに、もうやめようと思ったんだ、十和子を失うくらいなら知らない方が良いって」




「ダメよ、身動き出来ないくらい縛りつけておかないと……閉じ込めておきたいって前に言ったじゃない、亨さんにならそうされても構わない、その代わり、最期まで傍に居てくださいね?」




「それは当たり前だよ、俺は一生添い遂げるつもりだし十和子もそうであって欲しい」




「私もそのつもりです」




「十和子………本当に嫌じゃないの?」




「亨さんが嫌でなければ、ですけど」




「俺は……最後にちゃんと此処に帰ってきてくれればそれで良い、他人に蜜を与えた十和子を抱き締めて罰を与えるよ、必ず上書きしてみせる」




「はい、そうしてください、それが私の幸せなんです」




何処から間違えたのかもうわかりません。
ただ、亨さんに、最後は亨さんに愛して欲しいのです。
最後に抱かれてようやく安心出来る。







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