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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第6章 【渦巻く愛憎と独占欲に囚われても…】
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普通の感覚ではないことも理解しています。
治らない……治しようがない。
開き直る、とはまた違うニュアンスなんですけど。
共感して頂けないので誰にも言えません。
「十和子」と呼んで優しく抱き締めてくれる温もりを一生手放さないつもりなのに、その愛一本では満足しない心と身体がひとり歩きしてしまう。
新しい蜜を求めて、気付いたらもう目の前に盛らせた雄が居るので。
抗えなくなりこの手を伸ばすのです。
いつか、本当に、捨てられてしまうのでは。
そんな不安も無きにしもあらず。
その度に顔に出てしまっているのでしょうか。
亨さんが手を握り「大丈夫」と言ってくれる。
「俺は絶対に十和子を離さないよ」
その言葉がどれほど心強いか。
欲しい時に欲しい言葉をくれる亨さんに涙が出て来る。
「今はそうでも、いつか愛想が尽きたら捨ててください」
「何言ってるの?俺が?有り得ない、十和子以外は考えられないのに?これからも十和子に溺れるよ、たくさん愛し合って綺麗な十和子で居て欲しい」
「いずれ年老いてしまうわ」
「それは俺もでしょ?良いよ、お婆さんになった十和子もいちだんと綺麗だろうから楽しみだ」
「バカね、今よりうんとシワクチャになって張りもなくなるのに」
「それが添い遂げるってことでしょ?お互いに最期までこの手を握りしめていようよ、俺はそれが夢なんだけどな」
「夢?もっと他にあるでしょ」
「十和子が隣に居て最期を迎えられるなんて最高の人生じゃない」
ギュッと抱き締めて胸に顔を埋める。
「今夜は甘えん坊だね」と髪を撫でられまた泣きそうになった。
一瞬でも亨さんの最期を想像して不安が襲う。
看取るのかしら?
看取られる方が良い?
そんなことまで考えてくれている亨さんにひたすら感謝した。
「アハハ、泣かないで、十和子」
「無理………亨さんが居なくちゃ…っ」
「うん、俺も同じだから」
落ち着くまでずっと抱き締めてくれていた。
泣き疲れて眠りに落ちて翌朝に何とか説得してGPSを設定させた。
「悪いことしてたらすっ飛んで帰ってきてお仕置きだからね?」
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