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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第6章 【渦巻く愛憎と独占欲に囚われても…】





自分で撒いた種なのに都合の良い駒扱いしてしまう悪い癖。
それで去っていくなら本望。
それまでの男だと解釈する。




洗濯しようとする私の腕を掴み
「嫌いにならないでください」と縋りついてくる。
見せたこともない顔をしてるでしょう、今。
あなたが踏み込んで来たからよ。




でも私は、この苛つきの収め方を知っている。
本気になれないのはそこからきてるのかも知れません。




「嫌いにはならないわ、ただ一人になりたいの、リセットさせて」




「無理やりシてすみませんでした」




「煽ったのは私だから……矛盾してる心を落ち着かせたいの、今あなたと居たら傷つけてしまいそうだから離れて欲しい」




「わかりました、でもこれだけは変わらないと信じてください、私はあなたを本気で愛してます」




「ダメよ、奥さまがいらっしゃるのに」




「わかってるはずだ、もう心はあなたに向いていることを」




「勘違いしないでください、不倫ですよ?お互い帰る場所があるからこそ一時的に燃え上がってるだけです」




「そうですね、あなたはそうだ、でも私は境界線を見失ってる……だからこうして欲望のままにあなたに会いに来てしまうんだ」




持っていた洗濯物を手放した。
ソファーに座ったままの彼をお腹のあたりで抱き寄せる。
癖毛の髪を撫でて何度も沼に堕としていく。




「ごめんなさい、私も悪い……本気で断ち切れない私を許して」




ブンブン首を振りながら「あなたは悪くない」と言わせてしまう。
泣かないでよ、調子が狂う。
でも泣かせてるのは私なんだと酔ってしまう自分も居るわ。
隣人まで泣かせてしまった、私に捨てられるのが怖いと愛を乞うの。




「私を断ち切りますか?」




涙を浮かべてあなたは私に問う。
あの完璧なほどの冷酷な視線で私を虜にした隣人が最後はこんな浅はかな姿になり果てる。




「断ち切って欲しい?」




「またあなたを抱きに来ても良いですか」




「私が断ち切るどうのこうのじゃない、今はあなたが断ち切れないの、自覚は……まだでしょうね、完璧主義なあなたも魅力的だったけど、こうして縋りつく滑稽なあなたも魅力のひとつかも知れませんね」







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